この日はサンティアゴ・デ・コンポステラまで約25km走り、巡礼路走行証明書をいただく日だ。巡礼路はN547号線に絡むように進むが、N547号線は途中で消えてしまい、高速道路になって、サンティアゴ・デ・コンポステラに到達するので、N547号線が消える手前の国道と巡礼路が交差する所以降は、巡礼路を進む事にした。この日の天気予報は、全国的に晴れだ。
朝6時に起床した。良く晴れていた。朝食開始時間の7時に食堂に行くと、客は誰もいない。朝からごそごそと音がしていたので、歩行者たちは朝食を採らずに出て行ったらしい。食事をしていると、歩いてきた巡礼者が食堂に入って朝食を始めた。男女のとても若いカップルだ。
朝食を済ませて、自転車を中庭から出して玄関口に持って行くと、けっこう高齢のおばあさんが話しかけてきた。スペイン語のようだが、全然言葉が判らない。こんなことは初めての事で、この地方の方言かと思ったが、私のスペイン語は判るらしい。私が玄関の扉を開けて中に入ると、おばあさんも安心したように、一緒に入ってきて、おかみさんと話始めた。玄関前の扉が開かないと思っていたようだ。そう言えば、スペインではガリシア語と言うのが、公用語として認められているという事を、後になって思い出した。スペインでは、その他にバスク語が公用語として認められているそうだが、バスク地方はかすめて走ったものの、入らなかったためにお目に掛からなかった。

宿のおかみさんに見送られて出発した(7:42)。2km走ったら、一本調子の下り坂になり、3km下った所でペドロウソの町に入った(5km 8:03)。前日宿泊予定の町で、アルカ・ド・ピノという名前よりも、こちらの方が通称になっているらしい。アナメル町(9km)を通過すると、2kmの登坂車線となり、頂上に着いた(11km 8:38)。ここで、この先は高速道路の標識があり、あたりを見渡すと、左隣に巡礼路を見つけて入った。

巡礼路の横に舗装道路が有ったので、舗装道路を走る。舗装道路と言っても、そうとう傷んでいて、砂利道に近い。サンパイオ町(12km)を通過すると、砂利道が700m続いた(13km)。再び舗装道路があり、階段30段位を降りると、一般道の隣を進むようになった。サンティアゴの町に入った(22km 9:53)。
宿の心配と自転車や荷物の盗難の心配があったので、宿を探しながら進むと、1つ星のホテルを発見して、無事にチェックインした(23km 10:03)。荷物はフロントバックだけを持ち、進むと、すぐに巡礼路は車道、歩道とも石畳の道に変わり、歩いて自転車を転がして進む。

カテドラルに到着した(25km 10:48)。途中で歩行者集団に追い越された。50人位の集団で、同じTシャツを着て、大きな旗をなびかせて、歌を歌いながら行進している。この集団は、まだ良い方で、翌日には100人以上の集団が、道一杯になって行進して行くのを見た。ホテルの下をたくさんの集団が、歌を歌いながら行進して行く。



大聖堂の前でゴールインの写真を撮っていただいた。辺りを見渡したが、自転車を放置して、大聖堂に入っている人はいない。放置していても、仲間の人達が見張りしているようだ。近くに自転車預かり所みたいなものが無いかと、探しながら繁華街の方に進んだが、見つける事は出来なかった。やむなくホテルに戻ろうとしたが、迷子になった。大聖堂付近は、道が込み入っていて判りにくい。全然違う方向に進んでいたらしい。通りがかりの親子サイクリストが助けてくれて、ホテル近くまで案内してくれた。その人達もホテルでもらった市内地図を見ながら、だいぶ考え込んでいたが、数日後に調べたら、ホテルでいただいたこの地図がかなり、いい加減なものだったらしい。
ホテルに戻り、自転車をガレージに収納した(29km 11:30)。受付に聞いたら、ガレージの場所だけ教えてくれたが、ガレージの開け方が判らない。ガレージの前で待っていたら、他の車が出てきたので、その時に入った。自転車置き場に設置している間に、ガレージ扉が閉まり、閉じ込められてしまった。次は電気が消えて真っ暗になった。暫くして、次の車が入ってきて、無事に出る事ができた。受付に聞いてみたら、駐車場利用料は2ユーロかかり、レストランのウエイトレスに言うと無線で開けてくれるそうだ。一定時間で閉るので、出る時には、内側から重い扉をこじ開けるらしい。駐輪場は二本の輪が設置されていて、その間にタイヤを挟んで立て掛けて、輪とタイヤに鍵をかける。

大聖堂に向かう途中で、今度は黄色いTシャツを着た50人程度のジョギング集団に追い越された。ジョギングで巡礼路を100km以上も走って来たのだろうか。そう言えば、どうやって巡礼路走行証明書を頂くのか、その手順が判っていない自分に気が付いた。まず大聖堂に入ってみることにした。何か判るかもしれない。
中は立派な建物で荘厳だ。映画や写真で見る香炉もあった。この香炉で香を焚いて、吊るした香炉を南北に揺らすらしいが、この日はやっていなかった。たくさんの人が祭壇の入り口で列を作って並んでいたので、後ろに並んでみた。例の黄色いTシャツの人達の後ろだ。前に進むと、像が有り、皆さんが後ろから抱きついていたので、私も同様にした。後で本を読んだら、聖ヤコブ像だったらしい。こうする事で、黒く汚れた巡礼者が浄化されて、銀のように輝いて巡礼を終えるそうだ。
中には証明書を発行する所は無いようなので、入口窓口で聞いてみた。まず案内所に行き、そこでスタンプをもらって完走して下さいと言われて、そこに向かった。案内所に行ってみると閉館中だった(14:39)。月曜日は1日開店の筈なのに、スペイン人のことだからシエスタかなと思い、街中で時間を潰すことにした。
まず、街の中心街のレストランのテラスで、ゆっくりと30分の昼食を採った。次は本屋を探して、銀の道の巡礼路ガイド本を購入した。今回通ったスペイン国内の巡礼路は一般的に良く知られたルートだが、これを終えた人達が次に挑戦するのがスペイン南のアンダルシア地方から巡礼するルートで、銀の道と呼ばれているらしい。ローマ時代にスペイン北部で産出された金や銀を、当時の交易ルートだった地中海まで運ぶルートだったらしい。今回のルートに比べると、一線を画す厳しさがあるそうだ。特殊な本の部類に入り、現地に出かけなければ手に入らないと思って購入した。将来挑戦することがあれば、活用したい。
街をぶらぶら歩き、歩き疲れたので大聖堂で、ゴールインの人達を眺めていた。自転車の人もけっこう多い。私のようなツーリング車は少なく、マウンテンバイク(MTB)の人ばかりだ。16時50分から、市の案内所が開館を待っていたが、17時を過ぎても、一向に開館しない。立ち寄った人達は近くの店の店員に聞きながら、不満をぶつけている。私も近くの店で聞いてみたら、ここが閉じていたら、他でやっているから、そこに行きなさいと教えてくれた。言われた道をゆっくり進むが、案内所が見つからない。やむなく別の店で聞いてみたら、反対の方向を示した。その間を注意深く調べて行ったら、やっと見つけた。ちょっと判りにくい。
スタンプをもらい、巡礼路走行証明書ももらえるかと思ったら、大聖堂近くの#3建屋に入りなさいと言われた。そこで、やっと巡礼路走行証明書をいただいた。巡礼路をやってきた動機を確認する欄があり、①宗教、②宗教的興味などの人は巡礼証明書がいただけるが、その他の動機の人は巡礼路歩行(走行)証明書が発行されて、これは巡礼証明書に比べると、だいぶ格が下がる。受付の人が、それ以外の動機で間違いないですかとの確認があったが、文化的興味ですので、それで結構ですと答えた。神様は全てをお見通しだろう。
ホテルに19時すぎに戻り、そう言えば明日の水や食料の準備を忘れていた事に気が付いた。また町まで買い物に出かけた。閉じている店が多いと思ったら、この日は祭日だという事が判った。どおりで案内所が閉じていた訳だ。日曜・祭日は14時に閉館するらしい。ホテルで夕食後に、日本の家族や友人たちにサンティアゴ到着のメイルを送った。
サンティアゴ・デ・コンポステラ市泊 走行距離:30km 天気:快晴 トップ画像:サンティアゴ・デ・コンポステラの大聖堂
この日に通過した街: Cerceda, Pedrouzo, Amenal, Lavacolla(San Paio), Santiago de Compostela
